NDフィルターで引き波を撮る

露光量を調整することができるNDフィルターを使用することで、明るい環境下でもシャッタースピードを落とし、波の軌跡を滑らかな絹糸のように撮影することができます。今回は、NDフィルターを使った長秒露光の撮影方法について紹介します。
朝焼けの強い逆光のタイミングでの撮影だったので、NDフィルターを使わずにシャッタースピードを遅くすると空が白飛びをしてしまう状況でした。そこで、FS ND8を用いて露光量を調節し、シャッタースピードを1/250秒から1/2秒まで落とすことで、波の躍動感を滑らかな絹糸のような表現にしました。
シャッタースピードで変わる波の表情
NDフィルターを使い、シャッタースピードを変えることで引き波のさまざまな表情を捉えることができます。おおよその目安として、シャッタースピードを1/30秒以上にすると、目で見たような表情を捉えることができ、1/2秒まで落とすと滑らかな絹糸のような表情を捉えることができます。作例をもとに解説していきます。
まずは、シャッタースピード1/30秒で撮影。波が止まっているような写真となり、目で見たままの状態に近くなります。当日の条件にもよりますが、引き波の撮影において、シャッタースピードを1/30秒以上にすると目で見たような波の表情を捉えることができます。

SS:1/30 秒 F値:F16 ISO:100 FS ND8を使用して撮影 ※編集ソフトで明るさを調整
次は、シャッタースピードを1/2秒まで落として撮影。 その日の条件によって、多少の調整は必要になりますが、1/2秒まで落とすと、引き波の躍動感とともに滑らかな絹糸のような表情を捉えることができます。

SS:1/2 秒 F値:F16 ISO:100 FS ND8を使用して撮影 ※編集ソフトで明るさを調整
参考にこちらは、シャッタースピードを1/10秒で撮影。波が線を描き、躍動感は表現できていますが、絹糸のような滑らかさという点では物足りない印象です。

SS:1/10 秒 F値:F16 ISO:100 FS ND8を使用して撮影※編集ソフトで明るさを調整
FS ND64を使い、さらに露光量を下げることでシャッタースピードを3.2秒に設定して撮影しました。シャッタースピードを1/2秒に設定したものと比較すると、波の躍動感は弱くなり、より滑らかで柔らかな波の表情を撮ることができます。
NDフィルターを使うことで、波のさまざまな表情を捉えることができますので、好みに合わせ、シャッタースピードを調整するのがおすすめです。

SS:3.2 秒 F値:F20 ISO:100 NDフィルターを使用して撮影 ※編集ソフトで明るさを調整

SS:1/30 秒 F値:F16 ISO:100 FS ND8を使用して撮影 ※編集ソフトで明るさを調整
まずは、シャッタースピード1/30秒で撮影。波が止まっているような写真となり、目で見たままの状態に近くなります。当日の条件にもよりますが、引き波の撮影において、シャッタースピードを1/30秒以上にすると目で見たような波の表情を捉えることができます。

SS:1/2 秒 F値:F16 ISO:100 FS ND8を使用して撮影 ※編集ソフトで明るさを調整
次は、シャッタースピードを1/2秒まで落として撮影。 その日の条件によって、多少の調整は必要になりますが、1/2秒まで落とすと、引き波の躍動感とともに滑らかな絹糸のような表情を捉えることができます。

SS:1/10 秒 F値:F16 ISO:100 FS ND8を使用して撮影※編集ソフトで明るさを調整
参考にこちらは、シャッタースピードを1/10秒で撮影。波が線を描き、躍動感は表現できていますが、絹糸のような滑らかさという点では物足りない印象です。

SS:3.2 秒 F値:F20 ISO:100 NDフィルターを使用して撮影 ※編集ソフトで明るさを調整
FS ND64を使い、さらに露光量を下げることでシャッタースピードを3.2秒に設定して撮影しました。シャッタースピードを1/2秒に設定したものと比較すると、波の躍動感は弱くなり、より滑らかで柔らかな波の表情を撮ることができます。
NDフィルターを使うことで、波のさまざまな表情を捉えることができますので、好みに合わせ、シャッタースピードを調整するのがおすすめです。
美しい波の写真を捉えるためにその他の必要なポイント

SS:3.2 秒 F値:F20 ISO:100 NDフィルターを使用して撮影
まずは、構図についてですが、引き波が岩に当たって、弧を描くような軌跡を捉えると波の流れに変化が生まれ、良いアクセントになります。今回の撮影でも岩と波が綺麗に見える位置を調整し、ピントは手前の大きな岩に合わせています。
シャッターを押すタイミングについては、波が引く時に白い軌跡が出るので、波が引く瞬間からワンテンポ遅れた後にシャッターを押すと上記の作例のように白い軌跡を上手く捉えることができます。
そして、美しい引き波の表情を捉えるためにおすすめな撮影の時間帯は日の出と日の入りの前後30分。雲がある日が好ましく、今回の撮影でも朝日と流れる雲のおかげで写真がドラマチックな印象になりました。
その他、波打ち際に入って撮影する場合も多く、波風の影響を受けてブレやすいので、堅牢で太い三脚を使用するのがおすすめです。また、レリーズやセルフタイマーの機能を使うことでシャッターボタンを押した時に生じるブレなどを防ぐこともできます。
JetMag Pro FS ND
「FS ND(フルスペクトラムND)」と、NiSi独自のJetMag Pro磁気システムが統合された究極のNDフィルターです。FSNDは紫外線(UV)から赤外線(IR) 領域まで全波長において均等に光を吸収するため、高濃度のNDでも色被りがありません。
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