フィルターの種類と効果
減光フィルターとも呼ばれ、レンズを透過する光の量を減らすためのフィルターです。NDとは、「Neutral Density(ニュートラル・デンシティ)」の略で、光の量を減らすことで、シャッター速度を意図的に遅くしたり、絞りを開けたりするときに使うフィルターです。スローシャッターにすることで水や人の軌跡を描いたり、肉眼では見ることができないような描写を写真表現に取り入れることができます。光の量をコントロールすることで露出、シャッタースピードの選択に柔軟性を与え、写真表現の幅を大きくひろげてくれるのがNDフィルターです。
NDフィルターは濃度の濃さにより種類が分かれています。濃いものほど遮光性が強く、シャッタースピードを遅くすることができ、長秒露光特有の面白い効果を得ることができます。
NDフィルターの減光の強さは数字で表されます。表記には2通りの方法がありますが、日本で一般的に使われている表記(NDn)は「n分の1」の明るさになることを示します。たとえばND8ならば1/8の明るさ、つまり3段分暗くなることを示します。海外では何段分暗くなるのかを直接表現して「3 stops」と表記されるのが一般的です。
NDフィルターは、濃度によってシャッタースピードや露出を自在にコントロールします。数秒から数分まで、明るさに応じてNDフィルターの濃度を使い分けます。
ND8~16
3~4段(ND8~16)前後の減光は滝や渓流で水を滑らかに表現するのに最適です。シャッタースピードが1/4 ~1秒程度に落とすことで水の質感を残しつつも、流れを滑らかに表現することができます。
(左)フィルター非使用 (右)NiSi CPL + IR ND 8(0.9) / Photographer : Michael Lauer
ND64
6段(ND64)減光のNDフィルターをゴールデンアワーに使って露光時間を30秒程度に延せば、水面を鏡のように表現することができ、夕暮れをさらに印象的なイメージに変えることができます。
(左)フィルター非使用 (右)NiSi CPL + IR ND 64(1.8) / Photographer : Ole Henrik Skjelstad
ND1000
10段(ND1000)減光のフィルターは日中の強い光を抑えたい時に最適です。ND1000とND8~16などを重ねて使うことで1分以上の長時間露光が可能で、ユニークな作品作りに挑戦できます。
(左)フィルター非使用 (右)NiSi CPL + IR ND 1000(3.0) / Photographer : Beno Saradzic
ND32000
15段分(ND32000)減光するフィルターを使用すると、太陽が照りつける日中でも分単位の露光が可能になります。 目で見える世界とは違う超現実的な世界を楽しめます。
(左)フィルター非使用 (右)NiSi CPL + IR ND 32000(4.5) / Photographer : Albert Dros
1段減光するとシャッタースピードが倍になります。たとえば、NDフィルターなしでシャッタースピードが1秒のときにND8(3段減光)を使用すると、8秒にすることで同じ露出になります。計算が複雑になってしまう場合は、下記のような早見表を参照したり、「NiSi ND Calculator」のようなアプリを使えば簡単に適切なシャッタースピードを計算することができます。GooglePlayストアまたはiOS AppStoreから無料でダウンロードできます。
長時間露光をするときに光学ファインダーなどから余計な光が入り込むと、フレアのような現象を起こしてしまうことがあります。
NiSiの角型NDフィルターには遮光ガスケットが付いているため、ホルダーとの隙間から光の侵入を防ぐことができます。
一眼レフ機を使用している場合は光学ファインダーからの光の侵入を防ぐ必要があります。アイピースシャッターを閉じるか、パーマセルテープなどでファインダーを覆うようにしましょう。
更にレンズ全体を遮光性の高い布などで覆ってしまうと完璧でしょう。