PLフィルター(Polarizing Filter)は偏光フィルターとも呼ばれ、水面や窓ガラスの反射を消したり強調したり、青空や霞んで見える遠景をより鮮明に写したい時などに使います。
PLフィルター(偏光フィルター)は、光の特性である「偏光」を利用しています。
光には様々な方向に波打つ波長があり、通常の光はこれらがランダムに混ざり合っています。しかし、反射した光や特定の方向からの光は、一定の方向に揃った「偏光」と呼ばれる状態になります。PLフィルターは、この偏光をカットすることで特定の効果を生み出しています。
例えば、水面やガラスに反射する光は特定の方向に偏光しています。PLフィルターは微細な「偏光膜」を持っていて、この膜が特定の方向に振動する光の波を通さない役割を果たしています。どの方向の光を遮断するかは、フィルターの回転角度によって決まります。フィルターを回すことで、どの方向の偏光をカットするかを調整できます。例えば、窓に設置されたブラインドの羽(スラット)を回すと、外からの光が遮られたり、通す量が変わるのと似ています。
偏光フィルターの膜は、特定の方向に向いたスラットのような役割を果たしており、フィルターを回転させることで、どの光を通すか選別しています。
(1)フィルターを回転させる
カットする光とその度合を、フィルターを回転させることによって調節します。円形フィルターであれば、フィルター枠の全面を回すことで、角度が調節できます。
(2)効果が出る画角で撮影する
フィルターの効果には、太陽の入射角が重要です。太陽に対して、90度の角度で撮影すると、反射の除去や色の強調が特に効果的ですが、逆光になるとほとんど効果はありません。
水面を撮影するときには、40度前後がもっとも効果的です。真上から俯瞰で撮影した場合、PLフィルターの効果は限定的です。
水面やガラスに映り込む反射を取り除き、向こう側を見えるようすることができます。また葉っぱや、濡れた岩肌などの表面のテカリを抑え、被写体本来の色彩を鮮やかに映し出します。
フィルターを回転させることで、コントラストの強さを思い通りにコントロール。
晴天時の空が実際に青く見えても、撮った写真を見ると、空気中のチリや蒸気、乱反射の影響などで、白っぽく写ってしまうことがあります。PLフィルターを使うことで、空の青さや雲の白さと立体感、自然の豊かな色彩が際立ち、鮮明な写真に仕上がります。
水面に光が反射して画面全体が散漫になりすぎてしまうような場面でも、PLフィルターで反射を取り除くことで、被写体をより印象的に写すことができます。
写真家、張千里(ZhangQian Li)によるPLフィルターの解説です。Hasselblad、Sony、Gitzo、NiSiなど世界のトップブランドのアンバサダーを兼任する中国の若手写真家が、PLフィルターの効果とその使い方についてわかりやすく解説してくれました(日本語字幕)。
テキスト版はこちらからご覧いただけます > PLフィルターの使い方
PLフィルターとは? / PLフィルターの使い方 / PLフィルターの効果 / 実践編「青空と雲」「水面反射」「七色の虹」「草葉と岩石」「窓ガラス」「小物の撮影」 / PL+GNDを重ねて使う / PL+NDを重ねて使う