PLフィルター(Polarizing Filter)は偏光フィルターとも呼ばれ、水面や窓ガラスの反射を消したり強調したり、青空や霞んで見える遠景をより鮮明に写したい時などに使います。
水面やガラスに映り込む反射を取り除き、向こう側を見えるようすることができます。また葉っぱや、濡れた岩肌などの表面のテカリを抑え、被写体本来の色彩を鮮やかに映し出します。
(左)フィルターなし (右)PL使用 撮影:井上浩輝
フィルターを回転させることで、コントラストの強さを思い通りにコントロール。
晴天時の空が実際に青く見えても、撮った写真を見ると、空気中のチリや蒸気、乱反射の影響などで、白っぽく写ってしまうことがあります。PLフィルターを使うことで、空の青さや雲の白さと立体感、自然の豊かな色彩が際立ち、鮮明な写真に仕上がります。
(左)フィルターなし (右)PL使用
水面に光が反射して画面全体が散漫になりすぎてしまうような場面でも、PLフィルターで反射を取り除くことで、被写体をより印象的に写すことができます。
(左)フィルターなし (右)PLあり 強め
写真家、張千里(ZhangQian Li)によるPLフィルターの解説。基礎から実際の撮影方法までていねいに解説(日本語字幕)。
NiSi角型ホルダーに内蔵し、角型フィルターを装着したまま回転できる内蔵型の専用円形フィルターです。フィルタースレッドをもたない超広角レンズにも、角型フィルターを介してPLフィルターが装着できます。
フィルタースレッドに装着する円形フィルター
TRUE COLOR CPL | Ti エンハンスド CPL | |
---|---|---|
コーティングの種類 | HUCコート II | HUCコート |
表面反射率 | 0.35%以下 | 0.6%以下 |
撥水・防汚コート | エンハンスド | エンハンスド |
外周加工 | シネマシールド | 黒塗加工 |
フィルター枠 | アルミ合金 | チタン合金 |
薄枠設計 | ○ | ○ |
特徴 | 従来の偏光膜は、青成分がカットされることで黄緑色の色被りがありましたが、新開発の偏光膜により、ニュートラルな色再現に成功しました。 | NiSi独自の加工により発色の鮮やかなPLフィルター。風景や人物撮影を演出します。広帯域反射防止コーティングで低反射仕様。チタンフレームで衝撃に強い。 |
直線偏光により回転させて使用することも可能です。
直線偏光により回転させて使用することも可能です。
1.空や水面の反射を抑えて、鮮やかな色を再現する
空や水面を撮影すると、思ったよりコントラストが低く、眠い写真になりがちです。CPLフィルターを使うことで余計な反射を取り除き、クッキリと鮮やかな色調に仕上げることができます。
左:フィルターなし 右:NiSi PL使用
左:フィルターなし 右:NiSi PL使用
2. 水面の反射を抑え、水中の見え方をコントロールする
水面に光が当たると、反射で水中が見えにくくなります。そのようなシーンでは、PLフィルターを使うことで反射をコントロールし、水中まで見せることができます。またPLフィルターを回転させると効果のかかり具合が変わるため、どこまで水中を見せるか、細やかな表現の追求ができます。
左:フィルターなし 右:NiSi PL使用 撮影:井上浩輝
3. 湿度を感じる岩肌と苔を表現する
岩肌や苔は濡れることでしっとりと深い色合いになりますが、濡れた部分に光が反射すると、そこだけ白っぽく写ってしまいます。CPLフィルターで反射を取り除くことで、テカリのないしっとりとした岩肌や苔の描写ができます。
左:フィルターなし 右:NiSi PL使用
4. 水面の映り込みを最大限にして鏡面のようなリフレクションを写す
凪の水面は鏡面のようになり、地上の風景が鏡のように映り込みます。しかし、水面に反射があると、そこだけ白くなってしまいます。PLフィルターを装着して回転させることで、クリアなリフレクション表現ができます。
NiSI PL使用 撮影:谷田洋史
5. ガラスへの映り込み具合を表現に活かす
ガラスや水たまりなどに映り込んだ像にフォーカスする表現方法もありますが、映り込みをなくし、実像をより際立たせたいシーンもあります。PLフィルターを使用することで、映り込みと実像の存在感をコントロールすることができます。
左:フィルターなし 右:NiSi PL使用
6. 透明傘などの反射と透過をコントロールし、被写体の見え方を調整する
透明傘など完全に透明ではない素材に対しても、PLフィルターは効果を発揮します。PLフィルターを回転させることで反射や透過具合が変わるので、意図した被写体の見え方にコントロールすることができます。
左:フィルターなし 右:NiSi PL使用 撮影:高橋伸哉