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NDフィルター作例

 表現の可能性を広げる NDフィルター

NDフィルターを使ったさまざまな写真表現

1.滝や渓流の軌跡を滑らかに描写する

日中に滝や渓流などを絹のように滑らかに写すには、NDフィルターを使って露光時間を長くします。水の流れを軌跡として捉えることができます。

(1) 水を滑らかに撮るなら1秒が目安

水の軌跡を捉える場合、1秒前後が一般的な目安になります。撮影時の天候にもよりますが、たとえば絞りF11、ISO100の場合、日陰ではシャッター速度は1/30秒程度になりますが、ND8〜ND32を装着することで1/4秒〜1秒に調整することができます。

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ND256(ND8+ND32), f5, 6 秒 撮影:藪崎次郎

(2) 露光時間で異なる水の表現

シャッター速度によって、水の描写が変わります。下の3枚の写真は、左から1/200秒、1/25秒、3秒で撮影したものです。比較してみると、1/200秒は水の流れの瞬間が写し止められ、水飛沫も写っています。3秒になると、飛沫は消えて白い糸の束のような表現になることがわかります。

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NDなし , f11, 1/200秒 撮影:藪崎次郎

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ND8 , f11, 1/25秒 撮影:藪崎次郎

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ND256 , f11, 3秒 撮影:藪崎次郎

2.街中の人の流れを「静」と「動」で表現する

都会の喧騒を表すストリートスナップ。シャッター速度を1/10〜5秒程度にして行き交う人々をぶらし、主役となる被写体に止まってもらうことで、静と動を感じさせる表現ができます。明るい日中はND4〜16を使って減光し、背景がぶれるシャッター速度になるようにします。

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1/3秒, F16 / ND64 撮影:桶田雅威 

3.流し撮りでスピード感を表現する

車や自転車、鉄道などの乗り物や動物、陸上などのスポーツなど、動くものは背景をぶらす「流し撮り」の手法を使うと疾走感が強調されます。被写体によって異なりますが、NDフィルターを使ってシャッター速度を1/3 ~ 1/60秒に設定し、ピントを合わせて被写体の動きに合わせて体をパーンします。被写体は写し止められ、背景だけが流れることで、スピード感のある描写になります。グラフィカルな色合いになる背景選びがポイント。

(1) 乗り物の流し撮り

1/60秒~1/125秒程度のシャッター速度で撮影します。シャッター速度が遅くなるほど背景は「色」になり、1/10秒より遅くなると被写体をブラさないことの難易度がぐっと上がります。

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可変ND使用, 1/4秒, F11, ISO10 撮影:氏原正智

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撮影:畑上照夫

(2) 動物の流し撮り

流し撮りは横移動する被写体のほうがピントを追いやすく成功率が上がります。前後上下左右に不規則に移動する動物は難易度が高く、成功率も低くなりますが、うまく捉えられると躍動感あふれる1枚に。動きをよく観察し、1/30秒くらいからチャレンジしてみましょう。

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1/13秒, F9, ISO400  撮影:安彦 嘉浩

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1/8秒, F7.1, ISO100 撮影:氏原正智

4.花筏(はないかだ)の優美な軌跡を切り取る

桜の花が咲き終わると、散った花びらが池などに舞い落ちます。ゆっくりと水の流れに揺れる花びらをNDフィルターを使って軌跡として写し止めれば、日本情緒あふれる優美な1枚に仕上がります。

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1/8秒, F16, ISO100/15秒, F16, ISO100 可変NDフィルター 撮影:長瀬正太

5. 日中の晴天下で小さいF値を使う

大口径レンズの魅力は、開放にしたときの美しいボケ味にあります。しかし、晴れた日中の屋外でF1.2などの絞りを使うと、明るすぎて白飛びしてしまいます。通常なら絞ることで減光しますが、NDフィルターを使えば小さい絞り値のまま減光してボケ味を活かすことができます。

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1/500秒, ISO160 撮影: 一色卓丸 

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1/500秒, ISO160 撮影: 一色卓丸

6. 滑らかな動画を撮影する

動画ではフレームレート(fps)によって適正なシャッタースピードが決まるため、日中の明るい環境で適正露出を得るためにはNDフィルターが必須です。可変NDフィルターは、シャッタースピードと絞りを固定したままで、ND濃度を変えることで光量調整ができるので動画撮影にとても便利です。

7. 引き波の軌跡を絹糸のように神秘的に撮る

スローシャッターで引き波を切り取ると、白い絹糸のような幻想的な描写になります。NDフィルターを使ってシャッター速度が1/2秒程度になるようにし、さらに空が明るすぎる場合はGNDフィルターを使って明暗差を小さくします。

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1秒, F8, ISO100 撮影:Hiromasa Katsura

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撮影:Aditya Perman

8. 昼間の海や湖面を時間が止まったように切り取る

シャッター速度が速い晴天時の日中に海や湖を撮影すると、目で見たままの水の動きが写し止められます。NDフィルターを使って長時間露光にすることで揺らぎは線や面となり、ふだんは目にすることのない神秘的な描写になります。

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60秒, F16, ISO50 / ND8 撮影:谷田洋史

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30秒, F22, ISO 50, CPL + ND64 撮影:横田裕市

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100秒, F18, ISO 100 撮影:米津 光

9. ダイナミックな流れる雲の動き1枚におさめる

時間と共に移動する雲をスローシャッターで撮影すると、時間の流れが1枚の写真に凝縮された動きのある描写になります。星空など夜の撮影は自ずと長時間露光になるため、雲も流れますが、日中でもNDフィルターを使えば雲の流れを写すことができます。

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119秒, F11, ISO 100 / ND1000+ND8 撮影:TAKASHI

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120秒, F2.4 / ND1000 撮影:池田亜沙美

10. 都会を走る車や船の軌跡を線として描く

移動する光を長時間露光で撮影すると線のように写ります。露光時間が長いほど線の長さは長く、短いほど線も短くなります。短い線がたくさん画面に入ると煩雑になるので、NDフィルターで減光し、10秒以上の長時間露光にして画面の情報を整理します。

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10秒, F8 ISO100  撮影:Daniel-K-Cheong

11. 花火を白飛びさせずに美しい色を出す

花火の軌跡を写すには長時間露光が必要ですが、スターマインなどの明るい花火は光量が大きいた目、露光時間が長いと白飛びしてしまいます。明るい花火の軌跡を写すには、NDフィルターを使って減光する必要があります。

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27.78秒, F16, ISO200 / ハードGND8 撮影:金武 武

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11秒, F7.1, ISO160 / ND4 撮影:金武 武

12. スローシャッターで印象派の絵画のように描写する

油絵で描いた印象派の絵のように、風景を抽象化して表現する手法です。露光中にカメラを水平・垂直に動かすことで、輪郭がぼけて筆が滲んだような表現になります。NDフィルターを使って減光することで、昼間の撮影も可能になります。

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1秒, F14, ISO 100 撮影:淩嘉偉 (Kah-Wai Lin)

13. ポートレイトの表現の幅を広げる

NDフィルターをポートレイトで使用することで、表現の幅がグッと広がります。明るい日中に減光することで、白飛びさせずにF1.2などの開放値を使えるほか、露光中に移動するなど動きを取り入れることで、ぶらしのテクニックを用いた表現ができます。

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f11, 2秒, ISO 100 撮影:清田大介

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30秒, f8, ISO 100 撮影:清田大介