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いまイチオシのアルーアソフト ブラックミストとどう違う?

いまイチオシのアルーアソフト ブラックミストとどう違う?

はじめまして、フォトグラファーのYuriです。「ふんわりかわいい写真」をテーマに、観光プロモーションや家族写真等のポートレート撮影、機材レビュー、写真セミナーの講師等の活動をしています。今回は、最近お気に入りのアルーアソフトフィルターについて、特徴や使い方のコツ、ブラックミストフィルターとの使い分けについてご紹介していきたいと思います。
YouTubeにもまとめていますので、ぜひご覧ください。

目次

アルーアソフトは現行レンズとオールドレンズのいいとこどり

アルーアソフトはソフトフィルターの一種で、レンズに装着すると光を拡散してふんわりとした雰囲気のある写真を撮ることができます。効果は主に2つあり、1つはシャープネスを落として被写体をソフトに描写する「ソフト効果」、もう1つは光を拡散して光源の周辺にフレアやハレーションを生む「グロー効果」です。
通常の撮影は純正レンズでフィルターを使わずに撮影していますが、クリアでシャープすぎてしまい、もう少しノスタルジックな雰囲気が欲しいと思うことがあります。そういうシーンでは逆光時の光などに反応するオールドレンズを使うのも選択肢の一つですが、やや描写が劣化することが気になったり、荷物を増やしたくなかったりと、やむを得ず携行レンズから外すことも多くなりがちです。現代レンズのクリアな描写と、オールドレンズのノスタルジックな描写のいいとこどりができるものがあればいいのに……と思っていたところ、それを叶えてくれたのがアルーアソフトでした。
アルーアソフトを実際に使ってみて感じたのは、グロー効果の楽しさです。光が強く入る逆光の状態で撮影すると、光が拡散してハレーションやゴーストが入った幻想的な写真を撮ることができます。現行レンズではなかなか出ない光の効果が、フィルターをつけるだけで表現できるので、撮影がとても楽しくなりました。

作例

秋の傾いた光にアルーアソフトはとても相性がいいと感じました。光の入り方の角度を少し変えるだけで、フレアやゴースト、ハレーションの出方も変わるので、調整をするのもすごく楽しいです。

ソフトになるのにコントラストが残る

もうひとつ、アルーアソフトを使って実感したのが、ソフトに写るのにコントラストがあまり落ちないことです。これまで、ソフト系のフィルターはボヤッとした写真になる気がして、使うことに抵抗がありました。ふんわりとした優しい雰囲気の写真は好きなのですが、コントラストが落ちすぎてぼんやりとした描写はあまり好きではなく、ただ柔らかくするだけのフィルターは違うかな、と思っていたのです。
アルーアソフトを使ってみると、全体的に優しい描写になりつつ、コントラストが残る絶妙な塩梅がすごく使いやすいと思いました。たとえば下の写真は、ふわっとベールがかかったような優しい表現になりつつ、黒は締まっていて、被写体の魅力がきちんと伝わるように思います。

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フィルターなし

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アルーアソフト

やわらかいのに黒は引き締まって、透明感のある雰囲気に仕上がります。

光が強いときは、ベールがかかったような光が写真全体に回り、光の美しさや柔らかさを表現できます。光がそこまで強くないときは、あらゆる被写体をややソフトに表現してくれる印象です。優しい空気感を表現したいときに使いたくなるフィルターです。

つけるだけですぐに使える アルーアソフトの選び方

アルーアソフトの使い方はいたって簡単です。レンズの前にはめて、くるくると回転してねじ込むだけ装着完了。その状態で撮影すれば、すぐに効果を得ることができます。
アルーアソフトはレンズの径に合わせてさまざまなサイズが用意されています。購入するときは、自分が持っているレンズ群のなかで、一番大きい径のフィルターを選ぶようにします。私の場合、手持ちのレンズの中でもっとも径が大きいのは82mmなので、アルーアソフトも82mmのものを用意しました。これよりも径が小さいレンズに装着する場合、「ステップアップリング」という径を合わせるリングをかませます。
ここでご紹介する作品は、NikonZ 6IIとNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sの組み合わせなので、82mm径のアルーアソフトをそのまま装着しています。そのほかによく使うNIKKOR Z 85mm f/1.8 は67mm→82mmをつなぐステップアップリングを、YouTubeの撮影で使っているFUJIFILM XT5とXF16-55mmF2.8 R LM WRは77mm→82mmをつなぐステップアップリングを使ってフィルター径を合わせています。

アルーアソフト

アルーアソフトとブラックミストの違い

アルーアソフトと似たような効果のあるフィルターにブラックミストがります。この2つのフィルターがどのように違うのか気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで、ブラックミストとアルーアソフトを使って同じ被写体を撮り比べてみました。ブラックミストは効果のかかり具合によって1/2、1/4、1/8がありますが、今回は最もスタンダードな1/4を使っています。
もっともフィルターの違いを感じたのは、色合いです。ブラックミストは全体的にやや黄色っぽくなるのに対し、アルーアソフトはごくわずかにブルーっぽい色味になる印象です。夕方に人物を撮る場合などは、暖色系に寄るブラックミストのほうがノスタルジックな雰囲気で相性がいいかもしれません。一方、寒色系に寄るアルーアソフトは、透明感のある写真を撮りたいときにはまるので、個人的に大好きなテイストです。

フィルターなし

フィルターなし

ブラックミスト1/4

ブラックミスト1/4

アルーアソフト

アルーアソフト

もう1つはコントラストです。ブラックミストは全体的にコントラストが下がる傾向にあり、シャドウが持ち上がった写真になります。一方のアルーアソフトはコントラストが結構残るので、ソフトになりつつも締まっている印象です。

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フィルターなし

ブラックミスト1/4

ブラックミスト1/4

アルーアソフト

アルーアソフト

より効果が分かりやすいのは、ブラックミストをつけたときです。装着しただけで色合いやコントラストが変わり、どこか懐かしい雰囲気の写真が撮れるので、最初につけたときの感動が大きく、撮っていてすごく楽しいフィルターです。
一方、アルーアソフトは条件によっては効果がわかりにくいこともあります。強い光が当たっているときは効果がわかりやすいのですが、さほど光が強くないシーンではパッと見てわかるような効果が感じられず、よく見ると人肌や被写体の質感が柔らかくなっていたり、光が滲んでいることがわずかにわかる程度。レンズを付け替えたくらいの劇的変化を楽しみたい方は、ブラックミストをおすすめします。個人的には、フィルター効果がしっかり出ているよりも、ほんのり効果を載せているぐらいが好きなので、アルーアソフトが好みです。
撮影に行くと、シチュエーションごとにさまざまな表現をしたくなります。でも、重い荷物は撮影の負担になるのでたくさんのレンズを持って行くのは現実的ではありません。たった1枚のフィルターでレンズを1本持って行くくらい表現の幅は広がるアルーアソフトは、まさに希望を叶えてくれるフィルター。ふんわり柔らかい写真が好きだけど、コントラストはあまり落としたくない方は、1枚持っていると写真を撮るのがより楽しくなると思います。


Yuri

大阪府在住。「ふんわりかわいい写真」をテーマに、旅先の魅力やカメラの楽しみ方を発信。フォトグラファーとして、観光プロモーションやポートレート、企業SNSの撮影をはじめ、記事執筆、写真セミナー講師、書籍等への作品提供、イメージ動画制作など幅広く活動中。

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