Interview with Gill Princen
Instagramのフォロワーが43万人を超えるサブカルチャーマガジン、Yokogao Magazineをご存知だろうか？このマガジンを立ち上げたGill Princenは、NiSiのコンテンツ制作に携わった経歴がある。その縁もあり、今回NiSi Filters JapanがYokogao Magazineの初のオフラインイベントをスポンサーすることになった。
今回のインタビューでは、このイベントに関することと、Gillのこれまでのクリエイティブな軌跡を紹介する。Gillが立ち上げたYokogao Magazineは、彼の日本文化への純粋な興味から生まれたもので、たった10ヶ月前にコンテンツの発信を開始した。その注目と成長は驚異的で、Gillが初めて日本を訪れたのはわずか2年前のことだという。
2022年9月、クリエイティブエイジェンシーでのインターンシップを通じて長期滞在の機会を得たGillは、長年憧れていた日本文化を実際に体験することとなった。ベルギーで育った彼にとって、日本文化との最初の接点はアキバやアニメ、マンガだったが、実際に日本で働き生活することでカルチャーの多様性に驚いたという。リラックスできる自分を発見した。東京のクリエイティブコミュニティは、欧州と比べて非階層的でリラックスした雰囲気があり、自由に面白さを追求できる。かつてベルギーで音楽制作に没頭していた頃を振り返ると、日本では横のつながりがある中で、多様な生活スタイルが共存する中で、クリエイティブに妥協しないアーティストに数多く出会えた。その環境とそこから生まれる創造性がGillにとって非常に魅力的だったのだ。
こうした経験から、日本のクリエイティブなカルチャーをより深く探求し、紹介するメディアが欲しいと感じたGillは、2023年秋に「Yokogao」を創設した。「Yokogao」という名前は、偶然Spotifyで見つけた日本の曲からインスピレーションを受け、そのゆったりした声に惹かれて決めたという。この名前は、日本文化を異なる視点から見ることを象徴している。
そんなYokogaoの初めてのオフラインイベントとして「FRAMED」が開催された。このイベントは、ストリートフォトグラフィに焦点を当て、日本の文化や日常の一面をより親密に紹介する写真展覧会。もともとオンラインで毎月異なるフォトグラファーをフィーチャーするシリーズを行っていたので、その延長としてのイベントだった。Gillは、ポーズをしたり、演出された写真より、ありのままの姿やその時にしか撮れない瞬間をおさめた写真が好きだという。そのようなモーメントを集め、様々なフォトグラファーのレンズを通じて日本を紹介したいという想いがあった。
当日は、出身国やバックグラウンドがさまざまな日本在住のフォトグラファー12名の作品が展示された。街角の風景、人々の表情、東京のリズム—その背後にあるストーリーや感情が、日本の面白さを際立たせ、会場の雰囲気を作り上げた。美術館のようなフォーマルな雰囲気ではなく、Yokogaoのコミュニティやフォトグラファーたちの知り合いが気軽に参加し、飲み物を片手にクリエイティビティや日本での生活について語り合う。合計300人ほどが訪れた。写真を通じて面白い人たちが繋がり合う、そんな素敵な夜だった。Gillは「まさに私が目指していたもので、とても嬉しかった」と語る。
Gillの目標は、Yokogaoを通じてより多くの人々に日本の魅力を伝えることであり、彼のモチベーションは「こういう日本を理解してもらいたい」という硬いアプローチではなく、自分が面白いと感じる作品や人物、カルチャーを、道端で見かけた花をじっくり眺めるような感覚で楽しみ、発見していきたいということである。自身の西洋の視点や背景を活かし、新しい視点や物語を発信しながら、世界の人々に日本の魅力を伝えたいと考えている。今回の来日でインタビューしたい人もたくさん見つかったとのことであり、Gillの情熱とともに、Yokogaoはこれからもその独自の輝きを放ち続けるであろう。
Writing by Juri Ito (YL Projects)
Photography by Alex Abian
Sponsord by NiSi Filters Japan (Nisi Filters Japan は本エキシビジョンにスポンサードさせていただきました。)
