ブラックミスト比較 スタジオライティング編 by 高桑正義
メリハリのある描写が特徴のストロボ撮影にブラックミストを組み合わせることで、ライティングのバリエーションを増やすことができます。1/8、1/4、1/2の効果の違いと、それぞれの濃度を活かした撮影のアイデアをまとめました。
写真:高桑正義
ブラックミスト1/8、1/4、1/2の効果の違い
NiSiのブラックミストには3種類の濃度がありますが、どれを買っていいかわからない!という方も多いと思います。そこで、まずはそれぞれの効果を比較しました。ブラックミストの効果は、点光源を入れることで分かります。下の写真は、定常光のLEDライトを点光源として入れ、1/8、1/4 、1/2で撮影した写真です。
ブラックミスト1/8
ブラックミスト1/4
ブラックミスト1/2
ブラックミスト1/8
ブラックミスト1/4
ブラックミスト1/2
ブラックミスト1/4ブラックミスト1/2ブラックミストの効果により光が拡散され、ディフューザーのような働きをします。濃度の違いにより、光源からのハレーションの大きさが変わります。被写体の描写も1/2 が最も柔らかくなります。
撮り方1:
ブラックミスト1/4+基本ライティング
まずはブラックミスト1/4を使い、定常光とストロボを使ったシンプルな基本の2灯ライティングで撮影します。ストロボを使ってメリハリのある陰影を出しつつも、ブラックミストを使用することで、被写体を柔らかく描写することができます。またシャドウ部分を黒潰れさせず階調を出せるところが特徴です。
FUJIFILM GFX 100,レンズ:Fujifilm Fujinon GF110mm F2 R LM WR,110mm(35mm判換算87mm相当),1/13秒,F4,ISO 100,WB:5600K
ブラックミストなし
ブラックミスト1/4
左はブラックミストを未使用、右はブラックミスト1/4を使用した写真です。左は肌の白さと背景の暗さのコントラストが強く、シャープな印象です。ブラックミストを使用した右側の写真は陰影の差が滑らかになり、階調が豊かになっています。
ブラックミスト1/8
ブラックミスト1/4
ブラックミスト1/2
同じ設定で1/2と1/4を撮り比べてみました。1/2は光が拡散し過ぎてコントラストが失われてしまいますが、1/4はライティングで作ったコントラストを活かしながら黒の繊細な階調を出し、なおかつ被写体の描写を柔らかくできます。
ライティングはSwitti LED撮影ライトとProfotob10 plus+ソフトボックスを使用しています。
撮り方2:
ブラックミスト1/8+カラーライティング
背後にカラーLEDを使った、ネオンライクなライティングです。使用するのはブラックミスト1/8。カラーLEDが発する光をブラックミストで拡散し、ハレーションだけを画角に入れて演出に使います。効果の弱い1/8を使うことで、全体はシャープでメリハリのある表現になります。
ブラックミスト1/8FUJIFILM GFX 100,レンズ:Fujifilm Fujinon GF110mm F2 R LM WR,110mm(35mm判換算87mm相当),1/60秒,F2,ISO 500,WB:5600K
ライティングはSwitti LED撮影ライトとProfotob10 plus+ソフトボックスを使用しています。
撮り方3:
ブラックミスト1/2+ハレーション
濃度の最も濃いブラックミスト1/2を使って、肖像画のようなポートレート表現を作ってみました。レンズすぐ脇から光を当て全体のコントラストを下げ、1/2特有の軟調な描写を活かすのがポイントです。
ブラックミスト1/2FUJIFILM GFX 100,レンズ:Fujifilm Fujinon GF110mm F2 R LM WR,110mm(35mm判換算87mm相当),1/80秒,F2,ISO 100,WB:5600K
ブラックミストなし
ブラックミスト1/2
濃度の濃いブラックミスト1/2を使うことで、光が全体に回りコントラストが大きく下がります。衣装のシャドウ部分を比較するとそれがよく分かります。ブラックミストのソフトフォーカスと相まってニュアンスのある柔らかい表現になりました。
レンズの横にLEDライトを配置し、手前に思い切り光が入る状態にして撮影します。ライトはFalconEyes F7 12W RGB LED Miniポケットカメラライトを使用しています。
スタジオライティングでブラックミストを活用する撮影方法をご紹介してきました。
ストロボを使ったメリハリのある陰影を活かしながらも、柔らかな描写にすることができる「1/4」 。被写体はシャープな描写のまま、ライティングの幅を増やせる「1/8」。そして最もクリエイティブな使い方を楽しめる「1/2」。ライティングとフィルターワークを組み合わせることで、スタジオ撮影でのバリエーションが無限に広がります。