NDフィルターで光跡を撮る
車のライトなどが線状になる「光跡」を綺麗に途切れさせず、より多く写すためには、シャッタースピードを遅くし、シャッターを開け続けておく「長秒露光撮影」をする必要があります。しかし、シャッタースピードを遅くすると夜景が白飛びしてしまう可能性があります。
そこでNDフィルターを使い露光量を下げることで、より遅いシャッタースピードに設定しても白飛びを回避することが可能になり、途切れない多くの光跡を一度に写すことができます。
まずは、比較がわかりやすいようにシャッタースピード以外の設定(F値とISO)を同一にして撮影しました。NDフィルターを使わずに撮影したBEFOREの作例ですが、シャッタースピードを5秒ほどしか確保できず、途切れている薄い光跡になり、交差点に止まる車が目立っています。
そこで、AFTERの作例ではNDフィルターを使い、露光量を下げることで、シャッタースピードを120秒ほど確保しました。分岐するすべての道路の手前から奥まで光跡を途切れさせずに綺麗に写し、通り過ぎるさまざまな色のライトのおかげで光跡もカラフルになりました。
こちらは、NDフィルターを使わずにF値を22まで上げ、シャッタースピードを30秒に設定して撮影した作例です。比較的交通量が多い市街地の撮影ですが、30秒でも綺麗な途切れない光跡を写すには厳しい状況で全体的に光跡のボリュームが物足りない印象です。
30秒だと難しい場面も多いので、より確実に綺麗な光跡を撮影するために露光量を調整できるNDフィルターがあると便利です。参考のためにF値を22まで上げて撮影しましたが、F値を上げすぎると回析現象が起こり、画質の低下を招く可能性があります。F値は14くらいまでに留めておくのがおすすめです。
途切れない綺麗な光跡を写したい場合に重要なことは、車が通り過ぎるタイミングでシャッターを開け続けておくことです。NDフィルターを使うと、シャッターを開けておく秒数をより長く確保でき、それだけ多くの綺麗な光跡を写すことができます。可変ND(TRUE COLOR ND VARIO)を使い、撮影しました。
可変NDを使うことで段階的に露出を調整することが可能ですので、慣れない撮影地などでどの濃度のNDフィルターを持っていってよいか判断が難しい場合などにその場で調整することが可能です。
光跡撮影において三脚、レリーズやリモコンなどがあると便利です。
Aの作例は、イルミネーションの綺麗な時期に丸の内で撮影しました。
そのまま撮影すると人の往来が多い場所なので人が目立ってしまいます。
そこで、NDフィルターを使い、シャッタースピードを30秒と遅くすることで人をブラし、目立たなくさせました。
Bの作例では、より人の往来が激しく、立ち止まる人が多かった場所での撮影だったのでシャッタースピードを180秒と約3分ほどシャッターを開くことで人を目立たなくさせました。NDフィルターを使うことでこのような長秒露光の世界を写し出すことも可能になります。
観光地などで人の写りこみが気になる場合にぜひ試してみてください。
可変ND TRUE COLOR ND VARIO
1~5ストップ(ND2~32)の範囲でND濃度を調整できる可変NDフィルター。ストッパーによりフィルターの可動域を制御することで、X状のムラが発生を抑え、NiSi独自のTRUE COLORテクノロジーが可変NDの課題であった黄色かぶりを解消、マスターレンズと同じ色あいを保ちます。
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