ND1000フィルターで動き出す朝の大気を描く

NDフィルターは、強い光の中でもシャッタースピードを遅く設定できるため、動きのある被写体をなめらかに表現するのに適しています。今回は、アルプスの朝の空に流れる滝雲の動きを捉えるため、ND1000フィルターを使って撮影しました。
撮影地:長野県 南アルプス 北岳から間ノ岳方面を撮影
日の出とともに稜線が照らし出され、大気が動き出すアルプスの朝。その息づいた空気感を1枚の写真で表現するため、「稜線の静けさ」と「空を流れる雲の動き」を対比させたいと考えました。しかし、朝とはいえ光が強く、シャッタースピードを長くすると白飛びしてしまいます。そこでND1000フィルターを使用し、13秒の長時間露光に設定。雲の流れにスピード感と柔らかさが加わり、フィルターなしでは得られない、静と動が同居した幻想的な瞬間を捉えることができました。
ONE POINT
ブレやすい前景はNDなしで撮り、後で合成する

SS:13秒 F値:F13 ISO:64 使用フィルター:NiSi Nano IR ND1000(100×100mm)
前景にピント+遠景にピントの2枚を深度合成
長時間露光を行う際は、風によって前景の植生がブレてしまうことがあります。その場合は、風が止まる瞬間を狙うことが第一ですが、どうしてもブレが避けられない場合は、前景だけNDフィルターなしで別撮りし、後で合成するのも1つの方法です。このとき前景にピントを合わせておけば、深度合成にも対応でき、より完成度の高い1枚に仕上がります。

NDフィルター1枚撮り

後から深度合成を行った写真