1.空の明るさを活かしながら前景の暗さを解消する
ソフトGND
空にまだ明るさが残る夕暮れや夜明けの時間帯は、暗い地上の風景に露出を合わせると空が白飛びしてしまいます。空から前景へとなだらかな階調で描写すには、境目の緩やかなソフトGNDフィルターが最適です。
2. 空の表情と地上の風景を色鮮やかに再現する
ミディアムGND
(1) 白飛びしがちな空を減光し、雲のディテールを描写する
引き波を滑らかに写す場合、長時間露光で波の軌跡を捉えます。しかし、日が昇った後の空は明るいため、長時間露光にすると白飛びして雲の表情も消えてしまいます。ミディアムGNDフィルターで空の部分だけを減光することで引き波との輝度差を小さくし、雲の陰影を出して表情のある1枚に。
(2) 空とリフレクションの輝度差を小さくし、鏡面のように鮮やかに写す
日が昇った明るい空と水面に映り込んだ空を捉える場合、実像の空のほうが明るいため、映り込みに露出を合わせると空が白っぽくなりがちです。ミディアムGND8フィルターを使うことで両者の輝度差を小さくし、鮮やかに描写します。
3. 空と地上の風景を分割する地平線をシャープに描写する
ハードGND
岩や植物などが地平線や水平線にある場合は、減光部分とクリアな部分の境目が緩やかなソフトGNDフィルターが適しています。一方、空と地上が明確に分割されている場合は、グラデーション域が明確なハードGNDフィルターがおすすめ。地平線をシャープに描写できます。
4. 朝日や夕陽を入れつつ地上の風景を見せる
リバースGND
太陽はとても明るいので、朝日や夕日に露出を合わせて風景を撮影すると、手前の風景が真っ黒につぶれてしまいます。リバースGNDフィルターは朝日や夕日のために開発されたフィルターで、太陽の露出を抑えて手前の風景を綺麗にあぶり出します。
(1) 海に沈む夕陽
フィルターを使わないと真っ暗になってしまう手前の岩場。リバースGNDフィルターを使うことで、岩肌も繊細なディテールで描写します。
(2) 太陽と都市風景
地平線の近くの低い位置にある太陽と都市風景のコラボレーションはとてもドラマチック。リバースG N Dフィルターを使ってビルの繊細なディテールを描写しましょう。
(3) 壮大な大地に落ちる夕陽
草木を照らしながら沈む夕陽。黒くつぶれてしまいがちな大地も、目で見たままの風景のように切り取ることができます。
(4) 海に沈む夕陽と棚田
棚田に水が張られる季節は、夕焼けの映り込みを狙いたいもの。リバースGNDフィルターを使って、暖色に染まった空の映り込みを鮮やかに切り取ります。
(5) 明るい花火と暗い花火をバランスよく取り入れる
花火は1つ1つ明るさが違い、暗い和火や明るいナイヤガラなどさまざまです。長時間露光で写し込む花火のうち、リバースGNDフィルターで明るい花火の露出だけを抑えることで、バランスの良く美しい1枚に仕上げることができます。
5. GNDフィルターを使って被写体をより素敵に見せる
ミディアム/ソフトGND
人物をアップで写すだけがポートレートではありません。街や自然の中に人物を溶け込ませることで、風景的なポートレートになります。人物を強調するためにGNDフィルターを使うことで、風景を入れつつ被写体に視線誘導します。
(1) GNDフィルターの2枚使いで人物を際立たせる
グラデーションフィルターを2枚逆方向から使うと、人物を減光せずに左右を暗く落とすことができます。この例ではミディアムグラデーションの GND 16 を2枚使用し、人物に視線を誘導しています。
フィルターなし 撮影:高桑正義
GND16×2枚 撮影:高桑正義
(2) 背景の暗さを作り人物を強調する
リバースGNDフィルターの減光部分を左の奥側にかけることで、明るくなっている部分を暗くします。それにより、光の当たっている人物だけに視線を誘導することができます。
フィルターなし 撮影:高桑正義
ミディアムGND 撮影:高桑正義
(3) 背景を取り入れた風景ポートレート
風景的と人物が馴染むように表現したい場合は、明るい背景にソフトGNDフィルターの減光部分をかけることで、空もしっかりと描写することができます。