フィルターの種類と効果

減光フィルターとも呼ばれ、レンズを透過する光の量を減らすためのフィルターです。NDとは、「Neutral Density(ニュートラル・デンシティ)」の略で、光の量を減らすことで、シャッター速度を意図的に遅くしたり、絞りを開けたりするときに使うフィルターです。スローシャッターにすることで水や人の軌跡を描いたり、肉眼では見ることができないような描写を写真表現に取り入れることができます。光の量をコントロールすることで露出、シャッタースピードの選択に柔軟性を与え、写真表現の幅を大きくひろげてくれるのがNDフィルターです。
NDフィルターは濃度の濃さにより種類が分かれています。濃いものほど遮光性が強く、シャッタースピードを遅くすることができ、長秒露光特有の面白い効果を得ることができます。
NDフィルターの減光の強さは数字で表されます。表記には2通りの方法がありますが、日本で一般的に使われている表記(NDn)は「n分の1」の明るさになることを示します。たとえばND8ならば1/8の明るさ、つまり3段分暗くなることを示します。海外では何段分暗くなるのかを直接表現して「3 stops」と表記されるのが一般的です。
NDフィルターの濃度と透過率
| NDフィルター | 光学濃度(OD値) | 段数(stops) | 透過率 |
|---|---|---|---|
| ND2 | 0.3 | 1段 | 50% |
| ND4 | 0.6 | 2段 | 25% |
| ND8 | 0.9 | 3段 | 12.5% |
| ND16 | 1.2 | 4段 | 6.25% |
| ND32 | 1.5 | 5段 | 3.13% |
| ND64 | 1.8 | 6段 | 1.56% |
| ND128 | 2.1 | 7段 | 0.78% |
| ND256 | 2.4 | 8段 | 0.39% |
| ND1000 | 3.0 | 10段 | 0.1% |
| ND2000 | 3.3 | 11段 | 0.05% |
| ND8000 | 3.9 | 13段 | 0.0125% |
| ND32000 | 4.5 | 15段 | 0.0031% |
| ND64000 | 4.8 | 16段 | 0.0016% |
| ND1000K | 6.0 | 20段 | 0.0001% |
1段減光するとシャッタースピードが倍になります。たとえば、NDフィルターなしでシャッタースピードが1秒のときにND8(3段減光)を使用すると、8秒にすることで同じ露出になります。計算が複雑になってしまう場合は、下記のような早見表を参照したり、「NiSi ND Calculator」のようなアプリを使えば簡単に適切なシャッタースピードを計算することができます。GooglePlayストアまたはiOS AppStoreから無料でダウンロードできます。
NDフィルター露出換算表
フィルターなしで適正露出となるシャッタースピードから、NDフィルター装着時のシャッタースピードを確認できます。左列でお使いのNDフィルターを選び、上段の装着前のシャッタースピードと交わる値が装着後の目安です。
表は横にスクロールできます。
| NDフィルター (段数 / 濃度) | 装着前のシャッタースピード | ||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1/1000 | 1/500 | 1/250 | 1/125 | 1/60 | 1/30 | 1/15 | 1/8 | 1/4 | 1/2 | 1″ | |
| ND21段 / 0.3 | 1/500 | 1/250 | 1/125 | 1/60 | 1/30 | 1/15 | 1/8 | 1/4 | 1/2 | 1″ | 2″ |
| ND42段 / 0.6 | 1/250 | 1/125 | 1/60 | 1/30 | 1/15 | 1/8 | 1/4 | 1/2 | 1″ | 2″ | 4″ |
| ND83段 / 0.9 | 1/125 | 1/60 | 1/30 | 1/15 | 1/8 | 1/4 | 1/2 | 1″ | 2″ | 4″ | 8″ |
| ND164段 / 1.2 | 1/60 | 1/30 | 1/15 | 1/8 | 1/4 | 1/2 | 1″ | 2″ | 4″ | 8″ | 16″ |
| ND325段 / 1.5 | 1/30 | 1/15 | 1/8 | 1/4 | 1/2 | 1″ | 2″ | 4″ | 8″ | 16″ | 32″ |
| ND646段 / 1.8 | 1/15 | 1/8 | 1/4 | 1/2 | 1″ | 2″ | 4″ | 8″ | 16″ | 32″ | 64″ |
| ND1287段 / 2.1 | 1/8 | 1/4 | 1/2 | 1″ | 2″ | 4″ | 8″ | 16″ | 32″ | 64″ | 128″ |
| ND2568段 / 2.4 | 1/4 | 1/2 | 1″ | 2″ | 4″ | 8″ | 16″ | 32″ | 64″ | 128″ | 256″ |
| ND5129段 / 2.7 | 1/2 | 1″ | 2″ | 4″ | 8″ | 16″ | 32″ | 64″ | 128″ | 256″ | 512″ |
| ND100010段 / 3.0 | 1″ | 2″ | 4″ | 8″ | 16″ | 32″ | 64″ | 128″ | 256″ | 512″ | 17′4″ |
| ND3200015段 / 4.5 | 32″ | 64″ | 128″ | 256″ | 512″ | 17′4″ | 34′8″ | 68′16″ | 136′32″ | 273′4″ | 546′8″ |
| ND1000K20段 / 6.0 | 16′40″ | 33′20″ | 66′40″ | 133′20″ | 266′40″ | 533′20″ | 1066′40″ | 2133′20″ | 4266′40″ | 8533′20″ | 17066′40″ |
NDフィルターは、濃度によってシャッタースピードや露出を自在にコントロールします。数秒から数分まで、明るさに応じてNDフィルターの濃度を使い分けます。
ND8~16
3~4段(ND8~16)前後の減光は海岸や滝、渓流で水を滑らかに表現するのに最適です。シャッタースピードが1/4 ~1秒程度に落とすことで水の質感を残しつつも、流れを滑らかに表現することができます。


(左)フィルター非使用 (右) ND8 SS:1/5秒
ND64
6段(ND64)減光のNDフィルターを流れが激しい渓流で使用すると、1秒弱で水面を絹のように表現することができます。荒々しく力強い水面をND64を使うことで優美で幻想的なイメージに変えることができました。


(左)フィルター非使用 (右) ND 64 SS:0.6秒
ND1000
10段(ND1000)減光のフィルターは日中の強い光を抑えたい時に最適です。
ND1000とND8~16などを重ねて使うことで1分以上の長時間露光も可能で、ユニークな作品作りに挑戦できます。


(左)フィルター非使用 (右)ND 1000 SS:15秒
ND8000
13段分(ND8000)減光するフィルターを使用すると、朝夕の柔らかい光であれば、数分間の露光が可能になります。水面や雲の動きが滑らかに溶け合い、静寂に包まれた幻想的な世界を楽しめます。


(左)フィルター非使用 (右) ND 8000 SS : 4分
ND64000 (ND1000 x 64)
16段分(ND64000)減光するフィルターを使用すると、晴天の日中でも分単位の露光が可能になります。 肉眼では決して捉えられない、超現実的な表現を追求できます。


(左)フィルター非使用 (右) ND 64000
レンズに入る光の量を減らし、明るい場所でもシャッタースピードを遅くしたり、絞りを開けたりするために使います。
明るい場所で長時間露光や絞り開放の撮影をしたいなら必要です。ISO感度を最低にして絞っても光を減らしきれない場面では、白飛びしてしまいます。
日中の滝や川を滑らかに写すならND8〜ND64、数十秒の長時間露光で雲や海を流すならND1000が定番です。
ND4〜ND8(2〜3段)が目安です。露光時間を長くとれるので、白飛びさせずに複数の花火を1枚に重ねられます。
濃いフィルターほど色かぶりが出やすくなります。色再現性の高いフィルターを選ぶと、補正の手間を減らせます。
シャッタースピードが遅くなるため、基本的に必要です。1/30秒より遅くなる場合は三脚を使いましょう。
可変NDは1枚で濃さを調整でき、動画撮影に便利です。固定NDは濃さが決まっている分、画質と色の安定性に優れます。