撮影現場は、足元まで波が押し寄せるダイナミックな海辺でした。その躍動感を描写するのではなく、肉眼では捉えられない「静寂」を表現しようと考えました。荒波を雲海のように滑らかな質感で描写することで、神聖さと非現実性を感じる幻想的な世界観を作ります。「滑らかな水面」を実現するには、数秒~数分単位の長秒露光が不可欠です。しかし、撮影時は午前10時30分だったため、日中の光量での長時間露光では、白飛びが避けられません。そこでND1000フィルターとND8フィルターを重ね付けて約13段分の減光を確保。480秒(8分間)の長時間露光にすることで、絶えず形を変える波の動きを閉じ込め、霧のような滑らかな質感へと変換することができました。
FILTER TIPS
PL /風景
NDフィルターを重ねて荒海の静寂を描く

NDフィルターを使ってシャッター速度を調整することで、肉眼では見えない時間の流れを写し取ることができます。荒れた海の風景は、波の「動」を捉えるのではなく、長時間露光によって「静」に変換することで、幻想的で神聖な世界観を表現できます。今回は、NDフィルターの重ね付けで、荒々しい海を静寂に捉えた作例をご紹介します。
ONE POINT
安定した足場と三脚の固定が仕上がりを左右する
8分間に及ぶ長時間露光では、わずかなブレも画質に大きく影響します。とくに波が足元まで押し寄せる環境では、砂が波にさらわれて三脚がわずかに沈み込み、ブレ発生のリスクになります。砂浜では三脚を深く差し込んで固定するか、岩場など動かない場所でブレを最小限に抑えます。安定した設置が、緻密な描写に影響します。








